働いていると障害年金はもらえない?申請前に確認したい働き方と生活状況

「働いているから、障害年金は無理かもしれない」と感じていませんか。働いている事実だけで一律に判断されるわけではありませんが、勤務状況や日常生活への影響は、申請前に丁寧に整理しておきたい大切なポイントです。

この記事の結論:働いているからといって、障害年金を必ず受けられないわけではありません。ただし、勤務時間、仕事内容、職場の配慮、欠勤状況、日常生活への影響などは確認されるため、「どのような働き方で、どのような支障が残っているのか」を具体的に整理することが大切です。

1.働いていても障害年金を受けられる可能性はあります

障害年金は、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて受け取ることができる年金です。

そのため、「働いている」という事実だけで、すぐに対象外になるわけではありません。実際には、初診日、保険料納付要件、障害の状態などを確認したうえで判断されます。

一方で、働いている場合には、その働き方や継続状況も重要な確認材料になります。たとえば、同じ「働いている」でも、安定して通常業務を続けている場合と、短時間勤務や強い配慮を受けながら何とか続けている場合では、見え方が変わります。

大切なのは、働いている=申請できないと安易に自己判断しないことです。申請を考える段階では、仕事の状況と生活上の困りごとを分けて整理していきます。実際、当事務所にご依頼いただく方で、障害者雇用はもちろん、一般雇用で受給できている方もいます。もちろん、全員が受給できるわけではありませんし、通常の申請書類に加えて別紙で申立をすることも大事だと考えております。

2. 審査で見られやすいのは「働けているか」だけではありません

障害年金の相談で多いのが、「今も仕事に行けているので、申請しても意味がないですよね」という不安です。確かに、正社員フルタイムで全く問題なく勤務できている方は、正直にお伝えすると申請は難しい事が多いです。

しかし、見るべきなのは「仕事に行っている」という結果だけではありません。その仕事が、どのような条件や配慮の中で続けられているのかを見ていくことが大切です。

整理したいこと

確認する理由

勤務形態・時間・日数

正社員か、アルバイトか、障害者雇用か/短時間勤務、勤務日数の制限、休職や復職の繰り返しがあるかを見るため

仕事内容

責任の重い業務を避けている、単純作業に限定されているなどの事情を整理するため

職場の配慮

上司や同僚のフォロー、業務量の調整、通院への配慮などで成り立っているかを見るため

欠勤・遅刻・早退

勤務が安定しているか、体調による影響がどれくらい出ているかを確認するため

帰宅後や休日の状態

仕事をするために、生活の他の部分が大きく崩れていないかを見るため

家族や周囲の支援

本人だけでは生活や通院、金銭管理などが難しい場面がないかを整理するため

職場から配慮を受けている場合や、仕事内容が調整されている場合には、その内容について職場から証明書を取得し主治医にも共有することで、審査上の判断材料として有効となることがあります。当事務所では職場が協力してくれる場合はこの手法を使っています。

また、見落とされやすいのが、仕事以外の時間です。仕事中は何とか踏ん張っていても、帰宅後に何もできない、休日は寝込んでしまう、家事や入浴、通院準備を家族が支えているということもあります。

本人は「働けている」と感じていても、家族から見ると生活全体がぎりぎりで成り立っていることがあります。その場合は、本人の感覚だけでなく、周囲から見た困りごとも整理しておくとよいでしょう。

3. 精神の障害では、働き方の実態が特に大切です

うつ病、双極性障害、統合失調症、発達障害、知的障害などの精神の障害では、外から見ただけでは困りごとが分かりにくいことがあります。

厚生労働省が示している精神の障害に係る等級判定ガイドラインでも、就労していることだけで直ちに日常生活能力が高いと捉えるのではなく、仕事の種類や内容、勤務状況、職場で受けている援助などを確認する考え方が示されています。

つまり、「働いている」という一言ではなく、どのような支援や制限の中で働いているのかが大切です。
たとえば、次のような事情がある場合は整理しておきたいところです。

  • 体調に合わせて勤務時間を短くしている

  • 人との接触が少ない業務に変えてもらっている

  • 責任の重い仕事や締切のある仕事を外してもらっている

  • 上司や同僚が声かけや確認をしてくれている

  • 通院日や体調不良時の休みに配慮してもらっている

  • 仕事の日は何とか出勤できても、帰宅後や休日はほとんど動けない

ここで注意したいのは、これらの事情があれば必ず認定される、という話ではないことです。障害年金は個別の状況によって判断が分かれます。だからこそ、申請前に「働いている」という表面的な事実だけで諦めず、実態を具体的に整理することが大切です。

4. 働き方・利用している支援ごとに整理したいポイント

働き方には、一般雇用、障害者雇用、パート・アルバイト、就労継続支援A型・B型など、さまざまな形があります。ただし、働き方や支援の種類だけで「大丈夫」「難しい」と決めることはできません。

一般雇用の場合

一般雇用で働いている場合は、勤務時間や職責、業務量、欠勤状況を確認します。表面上は通常勤務に見えても、実際には部署変更、業務軽減、周囲のフォローなどで成り立っている場合がありますので、まずはご自身の現状を振り返ってみましょう。

冒頭でお伝えしたとおりですが、正社員フルタイムの場合は申請が難しいケースが多いです。

パート・アルバイト、短時間勤務の場合

短時間勤務であっても、勤務が安定しているか、欠勤や早退がどの程度あるか、仕事以外の生活にどのような影響が出ているかを見ます。勤務時間が短いことだけで判断せず、継続性や生活全体の状態を整理しましょう。

稀なケースですが、職場へ障害者手帳を申告し、配慮を受けながら働いていても、週の所定労働時間が10時間未満であるため、障害者雇用率の算定上の関係で、社内では一般のパート勤務として扱われているケースがあります。
(週10時間以上20時間未満で働く精神障害者、重度身体障害者、重度知的障害者は0.5人として算定されますが、週10時間未満の場合は算定対象とならないためです。)
このような場合には、障害者手帳を職場へ申告していることに加え、勤務時間や仕事内容、職場から受けている配慮などについて、職場から証明を受けておくことをおすすめします。

障害者雇用の場合

障害者雇用で働いている場合は、職務内容・配慮内容を具体的に整理します。障害者雇用だから必ず有利、という単純な話ではありませんが、上記2つと比較すると受給の可能性は比較的高くなります。職場でどのような支援を、どのくらいの頻度で受けているかは、働き方の実態を伝えるうえで重要です。

就労継続支援A型・B型の場合

就労継続支援A型・B型などを利用している場合も、利用日数、作業内容、支援の内容、体調による欠席などを整理します。障害者雇用と同様、どのような支援の中で作業しているのかを具体的に伝えることが大切です。

5. 診断書依頼時や申立書で伝えたいこと

働いている方が障害年金を申請する場合、診断書や病歴・就労状況等申立書で、働き方と生活状況が伝わるかが大切です。

診断書は医師が医学的判断に基づいて作成する書類です。ただ、医師が職場での様子や帰宅後の状態をすべて把握しているとは限りません。本人側では、仕事上の困りごとや生活への影響を整理して伝える準備をしておくとよいでしょう。できれば口頭ではなく、書面で伝えることを強くオススメします。

社労士事務所に依頼する場合は、これらの書類を作成してくれるかしっかり確認しておきましょう。

診察前・申立書作成前に整理したいこと

  • 現在の雇用形態と勤務時間

  • 仕事内容と負担の大きさ

  • 職場で受けている配慮

  • 欠勤・遅刻・早退の状況

  • 帰宅後に寝込むことがあるか

  • 家事や外出にどの程度影響するか

  • 家族や周囲の支援があるか

  • 体調の波が仕事に出ているか

病歴・就労状況等申立書は、傷病の経過や日常生活状況、就労状況などを具体的に記入する書類です。日本年金機構の様式でも、受診していない期間を含め、日常生活状況や就労状況などを具体的に記入する流れになっています。

申立書を書くときは、「働いています」で終わらせず、「どのような働き方で、何に困っているのか」まで書けるように整理することが重要です。

6. 受給中に働き始めた場合の注意点

すでに障害年金を受けている方が働き始めると、「年金が止まるのでは」と不安になることもあると思います。

まず、働き始めたという事実だけで、直ちに障害年金が支給停止になると決まるわけではありません。大切なのは、働き始めたあとも、障害の状態や日常生活上の支障がどの程度残っているかです。更新の際は再度診断書を提出し、審査が入りますが、現在の障害状態、勤務状況などが確認されます。

一方で、受けている年金の種類によっては、所得にも注意が必要です。特に、20歳前の傷病による障害基礎年金を受けている場合は、本人の前年所得が一定額を超えると、年金の一部または全部が支給停止となる仕組みがあります。

具体的には、前年の本人所得が3,761,000円を超える場合は2分の1、4,794,000円を超える場合は全額が支給停止の対象となります。扶養親族がいる場合は、所得制限額に加算があります。(令和8年時点)

また、障害基礎年金に加えて年金生活者支援給付金を受けている方は、給付金側にも前年所得の要件があり、4,794,000円を超える場合は全額が支給停止の対象となります。(令和8年時点)ます。年金本体とは別に、給付金の対象になるかどうかも確認しておきたいところです。

働き始めた後は、勤務時間、仕事内容、職場の配慮、欠勤・遅刻・早退、通院や服薬の継続、仕事以外の生活への影響を記録しておくと、更新時や相談時に状況を整理しやすくなります。

7. まとめ

働いている方の状況は一人ひとり違うため、「働いているから大丈夫」「働いているから無理」と単純に決めることはできません。

見落とさないようにしたいのは、働いている事実だけで判断せず、どのような働き方で、どのような配慮を受け、仕事以外の生活にどのような影響が出ているのかを分けて考えることです。

  • 働いているかどうかだけで一律に判断されるわけではない

  • 勤務時間、仕事内容、配慮、欠勤状況を整理する

  • 帰宅後や休日の状態、家族の支援も大切な情報になる

  • 診断書依頼時や申立書で実態が伝わるように準備する

  • 一人で「無理」と決める前に、個別の状況を確認する

当事務所は、うつ病・双極性障害・統合失調症・自閉スペクトラム症・アスペルガー症候群・ADHD・知的障害・てんかん等のこころの障害年金専門の事務所になります。初回相談・面談(オンライン可/全国対応)は無料の完全成功報酬制を採用しています。初診日・納付要件の事前チェック、医師向け依頼文書作成、病歴・就労状況等申立書の作成、提出後の照会対応まで一貫してサポートします。
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