障害年金って? 制度の全体像から受給要件、実務的注意点まで社労士が解説

皆様こんにちは。四国こころの障害年金を運営しています。社会保険労務士の池上と申します。

本日はブログ第1回目ということもって、障害年金制度のざっくりとしたお話をしようと思います。

1. 障害年金の定義と制度の趣旨

障害年金は、公的年金制度(国民年金・厚生年金)の一部として設けられている「所得保障」制度です。
病気や怪我によって労働能力または日常生活能力が低下した場合、その状態に応じて年金が支給されます。

2. 対象となる障害の範囲

対象となる「障害」は、身体障害に限られません。
精神疾患(統合失調症、うつ病、知的障害、発達障害など)や、内部障害(腎疾患、心疾患、肝疾患)、がん、さらには難病によるものなど、様々な障害が対象となります。

「診断名」は勿論重要ですが、それよりも「労働や日常生活にどれだけ制限がでているのか?」という点が重要です。
具体的には「障害認定基準」および「認定要領」に基づき、就労制限や日常生活動作の程度などから審査されます。


3. 年金の種類と支給額(サンプル付き)

令和7年度の障害年金の金額は下の表のとおりです。

初診日に厚生年金保険加入の場合は「報酬比例の年金額」が加算されます。

実際はもっと複雑なのですが、ここでは例として次のような方を想定してみましょう。

例:年金 太郎さん
初診日加入の年金制度:厚生年金保険
平均標準報酬額(ざっくりいうと毎月受け取った給料とボーナスの合計を加入月数で割ったもの):300,000円
被保険者期間:240ヶ月(平成15年3月31日までに厚生年金保険に加入なし)
障害等級:2級
配偶者・子:無し

年金太郎さんの場合、受け取れる年金額は障害基礎年金2級の831,700円に加えて障害厚生年金も受け取ることができます。報酬比例の年金額は
300,000円×5.481/1000×300ヶ月(300ヶ月未満の月数は300ヶ月として計算します)
=493,290円となり、障害基礎年金と足し合わせると1,324,990円が年間に受け取れる金額となります。
(※実際の計算式は再評価率といって、当時のお金の価値を現在の価値に図り直す必要があったり、平成15年3月31日までに被保険者がある場合は5.481/1000ではなく7.125/1000で計算したりするためもっと複雑です、あくまで概算として計算しています。)


4. 受給に必要な3つの要件

① 初診日要件

症状により初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日を「初診日」とし、その日が国民年金か厚生年金に加入していた期間内であることが必要。(20歳前傷病の障害年金は例外です)

② 保険料納付要件

初診日の前々月時点で、次のいずれかを満たしていること。

  • 直近1年間に未納がない(令和18年3月末までの時限措置)

  • 加入期間のうち3分の2以上が保険料納付済期間または免除期間である

③ 障害認定日要件

初診日から1年6ヶ月経過時、または症状固定時に所定の障害状態に該当していること

障害状態について、年金機構が発出している「障害年金ガイド 令和7年度版」より引用しますと、次のような状態です。あくまでも目安ですが、生活の範囲が、1級=ベッド、2級=自宅、3級=労働に制限、といった内容です。

この3要件のうち、1つでも満たさなければ障害年金を受給することはできません。


5.障害年金は原則として書類審査のみ

障害年金の審査は、原則として書面のみで行われる文書審査です。書類の提出先は年金機構か自治体の窓口ですが、決定は東京の審査機関で一括して行われています。
医師に書いていただく「診断書」や、ご自身で書く「病歴・就労状況等申立書」等の内容により、障害状態の等級判定がなされます。

特に精神疾患の場合、本人の症状が医師に的確に伝わっておらず、障害認定基準に沿った診断書が作成されていない・本人の申立内容と診断書の整合性が低い等の理由で審査が不利になることがあります。

書類を提出する前に、必ずしっかりチェックをしましょう。


6. よくあるお悩み

  • 初診日の証明が取れない
    → 障害年金を請求する際に最初に取り掛かることは、初診日を確定させて、その医療機関から書類を取り付けるのですが、医療機関の廃院・カルテの保存期限切れなどにより、初診日証明が得られないケースがあります。

  • 診断書に自身の症状が反映されていない
    → 医師の本来の目的は患者様の病気の治療であって、診断書をかくことではありませんし、診断書の記載項目は多岐にわたり、普段の診察では聞かれないことも多くあります。ご自身で申請する場合は、少なくとも「自分が日常生活を行う上で困っていること」をメモ書きにして渡すことをおすすめしています。1日の自身の生活を振り返って、どのようなことが困難かを書き出してみましょう。自分1人ですることが難しい場合は、ご家族等の協力を仰いでもよいでしょう。

  • 病歴・就労状況等申立書の書き方がわからない
    唯一、ご自身で作成できる説得材料です。よくやってしまいがちなこととして、ご自身のお辛い「気持ちだけ」書いてしまうというケースがあります。「日常生活や労働がどれほど制限をうけているか」という観点で事実と具体例で書く必要があります。


7. 社労士が申請支援する意味

障害年金の申請には、制度・審査基準・書類作成技術の総合的な理解が必要です。
社労士が支援することで、

  • 初診日・納付要件の確認

  • ご自身の症状を分かりやすい形でまとめた医師向け依頼文書作成やポイントの整理

  • 病歴・就労状況等申立書の作成

  • 書類提出後の照会対応

といったサポートが可能です。どの社労士に依頼するか迷われると思いますが、「どこまで代行してくれるか」ということはぜひ確認してください。中にはアドバイスが中心でほとんど最後の書類提出だけという場合もありますので・・・


8. まとめ

障害年金は、生活の安定を図るための制度です。
誤った情報や不完全な書類で申請すると、本来もらえるはずの年金が不支給となってしまうことも少なくありません。

正しい制度理解と、必要な準備をもって臨むことが大切です。
不安な方は、まずは制度に詳しい専門家にご相談ください。

当事務所は、うつ病・双極性障害・統合失調症・自閉スペクトラム症・アスペルガー症候群・ADHD・知的障害・てんかん等のこころの障害年金専門の事務所になります。初回相談・面談(オンライン可/四国内出張対応可)は無料です。初診日・納付要件の事前チェック、医師向け依頼文書作成、病歴・就労状況等申立書の作成、提出後の照会対応まで一貫してサポートします。
「自分のケースで何から始めればいい?」「初診日はどこになるの?」といったお問い合わせも歓迎いたします。
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